会社の目的変更
会社は、定款で定められた目的の範囲内の行為でなければすることができません。このため、会社が営もうとする事業内容については、定款において目的として定めておく必要があります。
そして、会社の目的については、定款に必ず記載されている事項(絶対的記載事項)となりますので、目的を変更することは、定款の一部を変更することになります。
このため、目的変更を行うためには、株式会社においては株主総会の特別決議による承認を要し、合同会社においては、定款に別段の定めを置いていなければ、総社員の同意が必要となります。
また、会社の目的は登記事項でもありますので、会社の事業目的を変更したときには、その変更の効力が生じた日から2週間以内に、その旨の登記申請をする必要があります。
登記にかかる費用
名古屋市の関司法書士事務所では、目的変更の登記手続きを、以下の費用で承っております。
■司法書士報酬 18,000 円(税込 19,800円)
■実費分
・登録免許税 30,000円
・登記完了後の履歴事項証明書 480円
・郵送費
※会社の事業目的といっしょにその他の登記事項も変更する場合に、目的変更の登記とあわせてその他の事項の変更登記もご依頼いただくときは、上記司法書士報酬を割引いたします。
目的を定める際の注意点
会社の目的を定款で定める際には、以下の点に注意が必要です。
■1.適法性
会社の目的は、会社の営む事業ですので、当然ですが適法な(法令または公序良俗に反しない)ものでなければなりません。
会社が法令上行うことができない事業としては、弁護士業、税理士業、司法書士業、土地家屋調査士業などがあります。
■2.営利性
会社は、対外的な営利活動によって利益を上げ、その利益を株主や社員に分配することを目的とする法人なので、その定款に記載される目的は、営利性を有するものでなければならないとされています。
■3.明確性
会社の目的は、定款の記載そのものから、一般の人が見て、目的に用いられている語句および目的全体の意味が何であるかわかる程度に、明確に記載しなければならないとされています。
特に、特定の業界でのみ定着している専門用語や、ローマ字による用語を使用する場合は注意が必要となります。
■4.具体性
以前は、類似商号規制(※)があったため、会社の目的は具体的でなければならないとされており、目的の具体性について登記官による審査がされていましたが、会社法の施行に伴い類似商号規制は廃止されたことから登記官による審査の対象外となり、登記の際に目的の具体性が問題になることはなくなりました。
しかし、会社がどのような事業を営むかについては、銀行をはじめとした取引の相手方にとっては重要な事項であるので、定款に定める目的は、その記載からどのような事業を営む会社かが判明する程度には具体的であるのが望ましいといえます。
※類似商号規制とは、同一の市区町村において他の人が登記した商号について、同種の営業を営む者は、その商号と同一または類似する商号を登記することが禁止される制度です。そして、登記官は、同種の営業かについては、会社については登記事項である目的の記載から判断していたので、会社の目的は具体的に定める必要がありました。
なお、類似商号規制は、現在は廃止されており、他の会社と類似の商号であっても登記には支障はありませんが、他社と誤認されるおそれのある商号を使用すると、場合によっては差止請求や損害賠償請求の対象となってしまうおそれがありますので、注意が必要です。
■5.許認可等に適した記載
業種によっては、監督官庁の許認可等を受けなければならないものがありますが、許認可等を受ける際には、対象の事業がきちんと目的に記載されているかが重要になってきます。
登記はされたけれども、許認可等が受けられなかったということでは元も子もありませんので、定款に定める時点から許認可等も見据えて、目的の記載内容について確認しておく必要があります。
許認可等を要する主な事業:建設業、飲食店業、中古品販売業(古物営業)、旅行業、宅地建物取引業、産業廃棄物処理業など
■6.同業他社の目的
会社の事業目的を定めるにあたっては、同じ業種の会社においてどのように目的が記載されているかが参考になります。
上場会社であれば、日本取引所グループのホームページ で定款を閲覧することができますので、定款に記載されている目的を確認することができます。
また、利用料金(1社につき335円)はかかりますが、登記情報提供サービス から、同業他社についての登記情報を取得して、登記されている目的を確認することもできます。
■7.将来行う予定の事業
会社の事業目的は、後から追加することもできますが、そのための登記等に費用がかかってしまいますので、会社の目的には、実際に行う事業内容だけでなく、将来行う予定の事業がある場合にはこの事業も含めておいた方がよいでしょう。
ただし、会社の目的に多く入れすぎて会社規模に比べて業務範囲が大きくなりすぎると、どういう事業を行っている会社か伝わりにくくなり、会社の信用を損なうおそれもございますので、注意が必要です。