株主総会とは

株主総会株主総会は、実質的な株式会社の所有者である株主を構成員として、株式会社において取締役とともに必ず設置される合議体の機関であり、株式会社の基本的事項についての意思決定を行います。

取締役会を置いていない株式会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項および会社に関する一切の事項、すなわち、会社に関するすべての事項について決議することができます。

また、取締役会設置会社においては、株主総会で決議できる事項は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に制限されますが、取締役会設置会社であっても株主総会の決議により定款を変更して、株主総会で決議できる事項に法定外の事項を加えることもできます。

すなわち、株主総会は、株式会社の最高意思決定機関となるものです。

株主総会の種類、招集者

■定時株主総会と臨時株主総会

株主総会は、その開催時期により、「定時株主総会」と「臨時株主総会」とに分けられます。

定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に開催されるもので、主に決算承認や剰余金の配当、役員の改選などの決議が行われます。定時株主総会は、事業年度の終了毎に開催されるべきものですので、1年をもって1事業年度とする株式会社においては年1回開催されることとなり、1年に複数の事業年度を設けている株式会社においては1年に複数回開催されることとなります。

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また、臨時株主総会は、必要がある場合に臨時に開催されるもので、多くの場合、定款変更や減資、合併など比較的重要な決議事項が生じた際に開催されます。

■招集者

株主総会は、原則として、取締役が招集します。ただし、総株主の議決権の100分の3以上(この保有割合の要件は、複数の株主によって満たすことでも可)の議決権を6か月(譲渡制限会社においては、この保有期間の要件はありません。)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、総会の目的である事項および招集の理由を示して、総会を招集するよう請求することができ、この招集請求を行ったにもかかわらず、取締役が、遅滞なく招集手続きを行わない場合または招集請求日から8週間以内の日を開催日とする総会の招集通知を発しない場合は、裁判所の許可を得て、招集請求を行った株主自らが総会を招集することができます。

そして、株主総会の招集者(取締役または上記株主)は、株主に総会に対する出席の機会と準備の時間を与えるため、原則として、開催日の2週間(書面による議決権行使を認めていない譲渡制限会社は1週間)前までに招集通知を発しなければなりません。

決議要件と決議事項

株主総会の決議には、4種類の決議があり、通常、「普通決議」「特別決議」「特殊決議」「株主ごとに異なる取扱いを行う定款変更の決議」と呼ばれています。それぞれの決議要件および決議事項は、以下のとおりです。

■普通決議

・決議要件
議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(これを「定足数」といいます。)、その出席した株主の議決権の過半数の賛成で可決します。ただし、定款で別段の定めをすることができ、実際、定足数については多くの株式会社が廃除しています。なお、役員の選任および解任の決議につきましては、定款をもってしても定足数を議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1未満とすることができず、多くの株式会社が役員の選解任決議の定足数を定款で3分の1以上としています。

・決議事項

役員の選任、役員の解任(ただし、累積投票により選任された取締役・監査役を解任するためには、特別決議が必要)、剰余金の配当、役員報酬の改定など

■特別決議

・決議要件
議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、その出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決します。ただし、定款で別段の定めをすることができ、定足数については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1まで軽減することができ、賛成を要する議決権の割合については、3分の2以上の割合を定めることができます(3分の2未満に軽減することはできません。)。また、上記要件に加えて、一定数以上の株主の賛成を要するなどのその他の要件を定款で定めることもできます。

・決議事項
定款の変更、資本金の額の減少、合併、会社分割、組織変更、事業譲渡、解散など

■特殊決議

・決議要件
議決権を行使することができる株主の半数以上であって、その株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決します。ただし、株主の半数以上という要件及び議決権の3分の2以上の賛成という要件については、これを上回る割合を定款で定めることができます。

・決議事項
発行する全部の株式を譲渡制限株式とする定款の定めを設ける定款変更など

■株主ごとに異なる取扱いを行う定款変更の決議

・決議要件
総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上の賛成で可決します。ただし、総株主の半数以上という要件及び議決権の4分の3以上の賛成という要件については、これを上回る割合を定款で定めることができます。

・決議事項
譲渡制限会社が、①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利、③株主総会における議決権、について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款変更(株主ごとに異なる取扱いを行う定款の定めを廃止する場合は除く)