定時株主総会とは

定時株主総会定時株主総会とは、株式会社において、決算の承認・報告等を目的として、毎事業年度の終了後一定の時期に招集される株主総会です。

多くの株式会社の定款には、「定時株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に招集する」旨の規定が置かれているため、通常、定時株主総会は、事業年度の末日から3か月以内に開催されます。

定時株主総会開催のスケジュール

以下は、取締役会設置会社における事業年度が終了してから定時株主総会の開催までのスケジュール概略です。取締役会および監査役を設置していない会社においては、③~⑦と⑩の手続きはありません。

■1.計算書類・事業報告の作成、監査

① 事業年度終了
多くの株式会社において、事業年度の末日が、定時株主総会において議決権を行使することができる株主を確定するための基準日として定款に定められています。この基準日の定めがあれば、事業年度の終了時点で、定時株主総会の招集通知を発送する株主が確定します。

② 取締役(+税理士等)による計算書類、事業報告、附属明細書の作成
計算書類とは、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表をさします。

③ 取締役から監査役に対して、②で作成した計算書類等を提出

④ 監査役による計算書類等の監査、監査報告の作成
計算書類等と監査報告につきましては、定時株主総会日の2週間前から5年間、本店に備え置かなければなりません。

⑤ 監査役から取締役に対して、④で作成した監査報告の内容を通知

■2.取締役会における決算承認、定時株主総会の招集

⑥ 取締役会の招集を各取締役・監査役に通知
取締役会の日の1週間(定款で短縮している場合はその日数)前までに招集通知を発する必要があります。取締役および監査役の全員の同意があれば、招集手続きを省略することができます。

⑦ 取締役会
監査を受けた計算書類等の承認を行い、定時株主総会の議案および招集の決定をします。

⑧ 定時株主総会の招集手続き
株主総会の招集通知は、原則として、株主総会開催日の2週間前までに、各株主に対して発する必要があります。ただし、非公開会社で、株主総会の議決権行使に書面投票および電子投票を認めていない場合は、開催日の1週間前まで招集通知を発すれば足ります。また、取締役会を設置していない会社においては、定款で定めることにより、招集通知を発送する期限を1週間よりも短くすることができます。
なお、株主総会の招集手続きは、株主全員からの同意があれば、省略することが可能です。

■3.定時株主総会

⑨ 定時株主総会の開催
事業報告の内容を定時株主総会に報告し、計算書類について定時株主の承認を受けます。
また、必要に応じて、剰余金の配当及び処分、役員の改選、役員報酬額改定、定款変更等の決議を行います。定時株主総会の終了後には、株主総会議事録を作成します。

⑩ 取締役会の開催
取締役会設置会社においては、定時株主総会の終了直後に取締役会を開催することになる場合が多くなります。とくに、取締役全員の任期満了による退任に伴い、定時株主総会において取締役の改選手続きが行われた場合には、代表取締役を選定するために、取締役会の開催が必要となります。取締役会の終了後には、取締役会議事録を作成します。

■4.総会後の手続き

⑪ 登記申請
上記⑨、⑩において、登記事項に変更が生じる場合には、法務局へ登記申請を行います。

⑫ 決算公告
定時株主総会の終結後遅滞なく、定款に定められた公告方法により、貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告します。

定時株主総会の決議・報告の省略(書面決議・書面報告)

株主総会は、実際に会議を開催したうえで、総会の目的てある事項について、決議・報告をすることが原則ですが、会社法319条の株主総会の決議の省略(書面決議)および会社法320条の株主総会への報告の省略(書面報告)を利用することにより、実際には株主総会としての会議を開催せずに済ますことができます。そして、この株主総会の書面決議・書面報告は、計算書類等の報告・承認を目的とする定時株主総会においても利用することができます。

株主総会の書面決議・書面報告は、これを利用するためには株主全員の同意を得ることが必要となるため、株主数が少ない中小企業や、完全子会社等の株主全員の意向を確認することが容易な会社において利用されています。

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